東京商工会議所が、生成AIの実践ガイドを発行しました
2026年5月、東京商工会議所が「中小企業のための『生成AI』活用実践ガイド ~生成AIを『使いこなし』、稼ぐ力の強化へつなげる~」を公開しました。
生成AIを業務に組み込む方法、精度を高めるためのプロンプト設計、リスクへの対応、さらに活用できる公的支援策まで、実践的な内容が一冊にまとまっています。(東商会員でマイページに登録している方は無料で閲覧できます。)
こうした公的なガイドが整備されてきたことは、中小企業にとって追い風です。「AIを使うかどうか」ではなく、「どう使いこなすか」の段階に、社会全体が移ってきていると感じます。
ただ、セミナーの現場で気になることがあります
私たちはこれまで、商工会議所や支援機関でのAI活用セミナーに数多く登壇してきました。そこで繰り返し感じることがあります。
操作方法を丁寧に説明しても、その場ではわかったようでも、後日「結局、自社で何に使えばいいのかわからなかった」という声が出ることがあるのです。
これは参加者の問題ではありません。ツールの使い方だけを学んでも、「なぜAIが必要なのか」「この先どんな世界が来るのか」という土台の感覚がないと、応用がきかないのです。
「攻殻機動隊」の世界は、もうSFではない

セミナーで大きな反響を得たのが、アニメ「攻殻機動隊」を用いた導入です。
攻殻機動隊は、人間がネットワークと直接つながり、記憶や思考までもがデジタルと融合した近未来を描いた作品です。AIは「ただの機械」ではなく、意思を持つ存在として描かれ、社会全体が「人間とは何か」を問い直しています。
「SFアニメの話でしょ?」と思う方もいるかもしれません。しかし、生成AIが文章を書き、映像を作り、判断し、行動する現在、私たちはすでにその入口に立っています。AIと人間の境界が、静かに溶けはじめている時代です。
この話をセミナーでお伝えすると、参加者の目が変わります。「操作を覚えなければ」という義務感から、「この変化の中で自分はどう動くか」という自分ごとの問いに切り替わるのです。

人間とAIが共存する世界で、何が変わるのか
世界観を共有した上で、次の問いに進みます。
AIが文章・映像・判断・行動をこなせるようになったとき、「人間にしかできないこと」は何か。
喜怒哀楽、痛みや悲しみ、宗教観や死の概念——こうした人間固有の感覚は、AIがまだ届きにくい領域です。そしてそれこそが、人間の価値になっていく可能性があります。
また、社会構造の変化という視点も重要です。AIを使える人と使えない人の差は、今後、収入・仕事の質・影響力に直結していきます。SNSの世界も、すでに「人 vs 人」ではなく「人+AI vs 人+AI」の競争になりつつあります。
AIリテラシーは、もはや教養ではありません。これからを生きるための、実務的なスキルです。

世界観が腹落ちすると、「人格設計」という発想が生まれる
こうした全体像を掴んでもらった後、参加者に変化が起きます。
「AIをどう使うか」という問いが、「AIにどんな役割を持たせるか」という問いに変わるのです。
たとえば、AIを「便利な検索ツール」として使うのではなく、「広報担当の新人スタッフ」や「文章を整える校正役」として設計する。名前をつけ、得意なことを決め、話しかける口調を決める。そうすると、指示が格段に具体的になり、AIが返してくる内容も変わってきます。
ツールの操作を覚えるより、「この人(AI)にどう仕事を頼むか」を考えるほうが、実務での活用につながりやすいのです。

おわりに
東商のガイドは、中小企業がAIを業務に組み込むための、実践的な一歩を示してくれています。操作や活用の具体例として、ぜひ手に取ってほしいリソースです。
一方で、私たちがセミナーを通じて伝えたいのは、その手前にある感覚です。どんな世界が来るのか。その中で自社はどう動くのか。AIをどんな「存在」として迎え入れるのか。
その問いを持った上でガイドを読むと、一つひとつの内容が、自分ごととして響いてくるはずです。
セミナー・研修のご相談
商工会議所・支援機関・企業研修でのAI活用セミナーをご検討の方は、お気軽にご相談ください。「操作を教えるだけで終わらない」「参加者が翌日から動き出せる」内容を、業種や参加者層に合わせて設計いたします。


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