シニアに届く発信設計は、マスメディアとデジタルの両方から考える

シニア女性がスマートフォンを手に、新聞とラジオが置かれた机で情報に触れている様子を描いたイラスト。左側には「シニアに届く発信設計は、マスメディアとデジタルの両方から考える」というタイトルを大きく配置し、マスメディアとデジタルを組み合わせたシニア向け情報発信の重要性を表現している。

「SNSに力を入れているのに、シニア層にうまく届いている感じがしない」

シニア向けの商品やサービスを扱う事業者の方から、こういった声をよく聞きます。投稿を増やしても、広告費をかけても、なかなか手応えが得られない。その原因のひとつは、「シニアにはデジタルで届ける」という前提で発信設計をしていることにあるかもしれません。

シニア向けマーケティングで見落とされがちな視点があります。テレビ・新聞・ラジオといったマスメディアは、シニア層にとってまだ主要な情報源であり続けているという事実です。デジタルだけに集中していると、本来届けられるはずの接点を逃している可能性があります。

この記事では、マスメディアの役割を改めて整理しながら、デジタルとつなげる発信設計の考え方についてお伝えします。


目次

シニアは、どこで情報を得ているのか

まず、シニア層のメディア接触の実態を確認しておきましょう。

2025年に公開された調査によると、シニア層の情報収集メディアの1位は「テレビ」(80.5%)、次いで「インターネット」(58.6%)、「新聞」(45.2%)という結果が出ています(コスモラボ「シニアの情報収集実態調査レポート」)。NTTドコモ モバイル社会研究所の2024年調査でも、70代の約9割がテレビからニュース情報を得ており、新聞も7割弱という数字が出ています。

ラジオも無視できません。文化放送の調査では、シニアのradiko利用率は約80%に達しており、YouTubeよりも高いという結果が出ています。車の運転中や家事のBGMとして、ラジオは日常に溶け込んでいます。

注目すべきは、テレビや新聞が依然として圧倒的な存在感を持っているという点です。「シニアもインターネットを使うようになったから、デジタルだけで届く」と考えるのは早計です。たしかにインターネットの利用は増えています。しかしそれは、マスメディアへの接触が減ったということを意味しません。シニア層は、テレビ・新聞・ラジオといったマスメディアとインターネットを組み合わせて情報を取得しています。「どちらか」ではなく「両方」を使っているのが現在のシニア層の実態であり、だからこそデジタルだけの発信設計では届かない層が生まれてしまうのです。

シニア層の情報接触を示すイラスト。中央のシニア人物アイコンを挟んで、左側に「マスメディア(テレビ・新聞・ラジオ)」、右側に「デジタル(スマートフォン・Web検索・SNS)」が配置されている。両側から矢印がシニア層に向かっており、マスメディアとデジタルの両方から情報を得ていることを表している。下部に「『どちらか』ではなく『両方』を使っているのが現在のシニア層の実態」というキャプション。

「テレビに出る=大企業向け」ではない

マスメディアの話をすると、「テレビCMや新聞広告は、大企業でないと無理」という反応をよく受けます。たしかに、広告枠を買うとなれば、それなりのコストがかかります。

ただ、中小企業やシニア向け事業者がマスメディアを活用する入り口は、広告ではありません。取材・掲載という形での露出です。

地域のテレビ局の情報番組、地方紙や業界紙の取材、ラジオの地域情報コーナー。こういった「編集コンテンツ」への掲載は、プレスリリースの送付や広報担当者へのアプローチから始めることができます。費用はかからない場合も多く、広告よりも読者・視聴者からの信頼度が高いという特徴もあります。

シニア層が長年親しんできたメディアに「存在する」こと。それ自体が、信頼形成の第一歩になります。

中小企業・シニア向け事業者がマスメディアに取り上げられるルートを示すイラスト。左の事業者から「プレスリリース送付」「広報担当者へのアプローチ」を経て、右側の「地域テレビ局の情報番組」「地方紙・業界紙の取材」「ラジオの地域情報コーナー」につながる流れを矢印で表している。費用ゼロから始められ、広告より信頼度が高いという特徴を添えている。

テレビ・新聞に出たあとが本番

マスメディアへの露出で重要なのは、「出ること」ではなく、その後の設計です。

テレビや新聞で取り上げられると、一時的にアクセスや問い合わせが増えることがあります。しかし多くの場合、そのまま放置してしまうと、一週間もすれば元の状態に戻ってしまいます。

メディア露出を「一過性のできごと」で終わらせるか、「信頼の資産」に変えるかは、デジタル導線との接続ができているかどうかで決まります。

thLIVE onが支援している事業者の事例をご紹介します。

柿沼人形は、テレビ出演をきっかけにInstagramのフォロワーが増加。また売上とWebへのアクセス増加につながりました。テレビを見た視聴者がSNSを検索し、フォローし、そこから商品に興味を持つ。この流れが自然に生まれたのは、SNSとWebの発信が整っていたからです。

FUKUFUKU-YAでも同様に、テレビ出演後のSNSフォロワー増加とECサイトアクセス増が確認されています。また、リアル店舗との提携も決まりました。メディア露出後に、SNSで継続的に情報を発信することで、一時的な注目をファンへの接点に変えることができました。

メディア露出後の2つの結末を対比したイラスト。上段は「デジタル導線なし」のパターンで、テレビ・新聞露出による一時的な注目がアクセス増にはつながるものの1週間で元に戻り、一過性で終わることを示す。下段は「デジタル導線あり」のパターンで、露出後にWeb・SNSへ接続することでフォロワーやアクセスが継続的に増加し、信頼の資産になることを示す。下部に「柿沼人形・FUKUFUKU-YA:テレビ出演→SNSフォロワー増加・売上UP・Webアクセス増」の事例を記載。

シニア向けマーケティングの発信設計、3つの視点

これらの事例から、シニア向けマーケティングで意識しておきたい視点を整理します。

1. シニアが信頼するメディアに「存在する」ことを意識する

シニア層にとって、テレビ・新聞・ラジオは長年の信頼があるメディアです。そこに登場することは、「信頼できる存在である」という文脈を自然に与えてくれます。広告ではなく取材・掲載を目指す広報の視点が、シニア向けマーケティングでは特に有効です。

2. マスメディア露出をWebとSNSに接続する

テレビや新聞で露出した後、視聴者・読者がWeb検索やSNS検索をすることは珍しくありません。そのときに「何もない」では、せっかくの露出が無駄になります。Webサイトの導線、SNSの発信内容、検索への対応。この三点が整っていることで、マスメディアの露出がデジタル上の信頼につながっていきます。

3. 家族世代(50〜60代)にも届く設計を忘れない

シニア向け商品やサービスの購入判断には、本人だけでなく、子ども世代や家族が関与することも少なくありません。テレビでシニア本人に届けながら、SNSやWebで50〜60代の家族世代にも情報が届く設計を意識することが、より広い接点につながります。


デジタルだけでは、シニアには届かない

「SNSに力を入れているのにシニアに届かない」という悩みの根本には、多くの場合、シニア層のメディア接触の実態と、自社の発信設計がずれているという構造があります。

シニア層はテレビ・新聞・ラジオをまだ日常的に使っています。そこへの接点を持たないまま、デジタルだけで発信しても、情報が届く前に取りこぼしが生まれてしまいます。

シニア向けマーケティングで成果を出すには、マスメディアとデジタルを分断して考えるのではなく、それぞれの特性を理解した上でつなげていく発信の構造設計が必要です。デジタルへの投資を否定するわけではありません。ただ、マスメディアという接点をまだ活かしきれていない事業者にとって、そこに目を向けることは、発信設計を大きく変えるきっかけになるはずです。

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まとめ

  • シニア層はテレビ・新聞・ラジオとインターネットを組み合わせて情報収集している
  • マスメディアへの露出は、広告枠ではなく取材・掲載という形から始められる
  • テレビや新聞に出た後、WebとSNSに接続することで信頼を資産に変えられる
  • シニア本人だけでなく、家族世代(50〜60代)にも届く設計が重要

シニア向けの発信設計、一度整理してみませんか

「テレビに出たいけれど、どう動けばいいかわからない」「SNSを運用しているが、シニア層への届き方が実感できない」——そういったお悩みをお持ちの方は、まずは現在の発信の構造を整理することからはじめてみてください。

thLIVE onでは、シニア向けビジネスを行っている事業者の方向けに、マスメディアとデジタルをつなぐ発信設計のご相談をお受けしています。戦略構造診断では、現在の発信状況を整理し、どこから手をつければよいかを一緒に考えます。

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